思い出に魅せられて。ー乃木坂46MV「無口なライオン」【考察】
今日は乃木坂46MV「無口なライオン」について書いていこうと思う。まだ見てない方は下にShort Ver.を張っておくので雰囲気だけでもつかんでいただけたら。(無口なライオンのMVは真っ先にフルに戻してほしい。。。)
思い出作りって何よ
七瀬と七瀬のお父さん(津田寛治さん)の会話からこのMVは始まる。どうやら夏休み明けに引っ越しをするそうだ。転学しなければならないことに複雑な思いでいっぱいの七瀬に「お前もほら、、思い出作りとか」というお父さんの言葉が突き刺さる。
本来、”思い出”というのは過去を振り返った時にできるものだ。思い出は作るものではなくて、作られるものだと僕は思う。
七瀬を動かした一言
このMVを語るうえでは絶対に欠かせない桜井玲香の言葉がMV中にある。それは、
「10年か20年経ったら、今のこの瞬間なんて絶対覚えてないよね」
という言葉だ。この言葉を聞いた七瀬はハッとした。
この桜井玲香(写真右)の言葉は、僕自身もハッとさせられた。「絶対」とは言い切りたくはないが、ほとんどの場合は「絶対」なのだろう。普遍的な、当たり前な日常は「思い出」になってはくれないことがほとんどなのだ。
七瀬にとって、この日常はとても満足できるものだっただろう。だがしかし、このまま自分が転学することになったら10年後、20年後の佑美(二つ上の写真左)(MV中で幼馴染)の「思い出」に自分は存在しないかもしれない。そして自分の「思い出」にも残らないかもしれない。
七瀬はかつて佑美と遊んだ海岸にあるキャンピングカーのところへ家出する。
思い出作り
佑美は七瀬に違和感を感じ、一人で海岸沿いにいた七瀬のところへ向かう。もちろん、佑美は七瀬が転学することを知らないし、七瀬もそのことは隠している。
佑美の呼びかけにより、男にフラれたり、進路に迷っている友達がこの海岸に集まる。花火をしたりキャンプファイヤーをしたり、これ以上ない幸せな時間を過ごす。
少し道を外れるが、この笑顔も含めて西野七瀬さんの表情はとても魅力的だ。
夢のような楽しい時間が過ぎ、現実がまたやってくる。家出していた七瀬をお父さんが迎えに来る。
なんだよこのやろう、思い出作りって先に言ったのはあんただろ!
と言いたくなるが我慢しておこう。
七瀬の「罪」
お父さんのつかむ手を振り払った七瀬。その七瀬の手をつかみ、走り出す佑美。走っている間、七瀬は今までの「思い出」を思い出し笑顔になる。この瞬間がたまらない。走り疲れた二人はコンクリートの上に寝そべる。
「あの中だけだったね、時間が止まってたのは」
時は無情だ。時間が止まっていたのは「楽しい時間」だけだ。10年後も20年後も忘れない「楽しい時間」だけだ。
七瀬は佑美にキスをした。この「思い出」を忘れないために。忘れさせないために。
このキスを桜井玲香は見ていた。そして七瀬も見られていることに気づいていた。それでもキスをした。この「思い出作り」の最後はキスで締めくくられた。
そして最後のシーン。
「これで10年後も20年後も忘れないね。また二学期でね」
七瀬はそう言うと一人で来た道を泣きながらひきかえしていく。だが、佑美はすべて知っていた。七瀬の転学届をぐしゃぐしゃにしながら、泣きながら「嘘つき」と言う佑美。たったその一言だけだ。何も止めようとはしない。来るとわかっていた「その時」が無常にも二人に訪れてしまった。
ずっと”あの中”にいたかったーー
それが佑美の、七瀬の本心だろう。
七瀬の「罪」、それは佑美に嘘をついたこと。この画像のすべては最後のシーンにかかってくると僕は感じた。
総括
僕は乃木坂46のMVの中で一番この「無口なライオン」が好きだ。ほんとかよ、と疑われてしまうかもしれないが、僕はこのMVに何回も泣かされている。
転学することを伝えないでみんなと過ごしたあの時間だからこそ意味があるし、伝えていないのに知っていた佑美、知ってたからこそみんなを家出しようという理由で呼び出した佑美には感心してしまう。笑顔で走る七瀬をみて、よかったね、、、と思わず声が漏れてしまう。
楽しい時間なんてあっという間だ。
あと、このMVで言われる「言葉」がとても好きだ。無駄なセリフは一つもない。MVは映像だけでなく、言葉でも作ることができるんだなって感じた。西野七瀬と若月佑美という配役、無口なライオンという楽曲、すべてがこのすべてだ。
あなたはこのMVを観て、何を感じ、何を思うだろうか。僕は10年後も20年後もこの乃木坂46を好きでいた時間は絶対に忘れない。
思い出に魅せられて。