「帰り道は遠回りしたくなる」
今年も残すこと二か月弱。冬が近づき、だんだんと冷たくなっていく空気は、「早くお家に帰りな」と語りかけてくる。どうやら僕たちを遠回りさせてはくれないらしい。
さて、今日は乃木坂46、22nd「帰り道は遠回りしたくなる」について個人的な妄想と想像を述べていきたいと思う。個人的な見解だということを了承願いたい。
まず、いきなりだが一番のサビの歌詞について考えていく。
帰り道は 帰り道は
遠回りをしたくなるよ
どこを行けば どこに着くか?
過去の道なら迷うことがないから
弱虫 弱虫 弱虫
新しい世界へ
今 行きたい 行きたい 行きたい 行きたい
強くなりたい
ところで「帰り道は遠回りしたくなる」というタイトルを見て、あなたは一番最初に何を考えただろうか?僕の場合、「帰り道は遠回りしたくなる、だけど私は(帰り道を)遠回りしない」という解釈をしてしまった。だが、歌詞を見ればその解釈は違っていたことに気づく。
ここで歌詞の順番を変えてわかりやすくしてみる。
どこを行けばどこに着くか?
過去の道なら迷うことがないから
帰り道は 遠回りしたくなるよ
ここで僕は「過去の道」=「帰り道」=「これまでに一度通ってきた道」という解釈をする。帰り道が帰り道になるのは、その道を一度通ったことがあるからだ。
さらに言えば、この「帰り道」、つまり「これまでに一度通ってきた道」とは「思い出」も表している。思い出を振り返るとき、あのときこうだったなぁとか、そういえばこのときは~のように「どこを行けばどこに着くか(どこの記憶を辿ればどこの思い出にたどり着くか)」、自分でわかっているのである。
だから、ついつい遠回りをしたくなってしまうのである。思い出を辿っていってしまうのである。たくさんの道(思い出)を知っているから。
そして、これが二番のサビの歌詞につながっていく。
知らない道 知らない道
あと何回 歩けるだろう
夢の方へ 愛の方へ
風は道を選んだりはしないよ
このまま このまま このまま
ONE WAYの標識
でも行くんだ 行くんだ 行くんだ 行くんだ
戻れなくても
ここでの「知らない道 知らない道 あと何回歩けるだろう」は、残された時間であと何回の新しい思い出を乃木坂46で作れるだろうという意味として捉えた。
そして最初に述べた自分の解釈が間違っていたと確信した歌詞が
ONE WAYの標識
でも行くんだ 行くんだ 行くんだ 行くんだ
戻れなくても
である。「ONE WAYの標識」とは、アメリカ(ハワイ)などで「一方通行」を表す標識。「戻れなくても行くんだ」から、強い気持ちが伝わってくる。そう、「帰り道は遠回りしたくなる」というタイトルだけど、西野七瀬さんが行きたいのは帰り道でも過去の道でもなく、新しい世界、もっともっと広い世界なのである。
「帰り道は遠回りしたくなるけど、私は遠回りをしないよ」
ではなくて
「帰り道は遠回りしたくなるね、だけど私は新しい世界に行くんだ。。」
なのである。
思い出を全く振り返らないのではなく、「思い出は振り返りたくなっちゃうよね、だけどね、、、」という乃木坂らしさがここにはある。
少し脱線するが、僕はAKBの「GIVE ME FIVE!」という曲が好きだ。この曲には「友よ 思い出より輝いてる明日を信じよう」という歌詞があり、「明日」は「思い出」より輝いていると断言されている。とても強く前を向いている歌詞だ。
ここで乃木坂の歌詞と少しだけ比較してみる。
「そう 卒業とは出口じゃなく入り口だろう」ーGIVE ME FIVE(AKB)
「始まりはいつだってそう何かが終わること」-サヨナラの意味(乃木坂)
「友よ 思い出より輝いてる明日を信じよう」ーGIVE ME FIVE(AKB)
「過去がどんな眩しくても未来はもっと眩しいかもしれない」-帰り道は遠回りしたくなる(乃木坂)
このように、乃木坂の曲の歌詞はより人の気持ちに近いというか、明るい部分だけではないというか、100%前向きな歌詞ではないことが多いと僕は思う。
過去が眩しいということを1度肯定してくれているのは嬉しいし、「かもしれない」で表現されているのは最高に乃木坂の歌って感じがして好きだ。
そしてもう一つ脱線する。「ONE WAY」と言ったら本田美奈子さんの「One way generation」を連想させる人もいるだろう。ここで歌詞を引用してみる。
人ごみの まん中 今居る場所さえ わからないように 自分の生きかたが 見えない時ってあるよね 話してはみたけど 言葉が 一方通行みたいで 遠くの夢なんて 大人はわかってくれない 俺等は Oneway Generation Oneway Generation 今 ひとりで何かを探して Oneway Generation Oneway Generation 今 知らないどこかに向かって 戻れない片道のチケットと 夢だけを信じたい
恋人を送った プラットホームは ガランとしていて 空っぽの心が 次の列車を待っている サヨナラのかわりに 手に入れたものは 小さな自由と 大きな悲しみと 中くらいの思い出だけさ 俺等は Oneway Generation Oneway Generation もう 地図など必要ないから Oneway Generation Oneway Generation もう まわりを気になどしないさ 青春の終点に 着いた時 何が待っているのか
勘づいた人もいるかもしれないが、この曲の作詞は秋元康である。癖になる曲なので是非聞いてみてほしい。特に深い意味はない。
この話には続きがあって、この「One way generation」を「Thinking Dogs」が去年カバーをしているのでこちらもぜひ聴いてほしい。いやぁ、「あの頃、君を追いかけた」を観てから「言えなかったこと」をほぼ永遠にリピートして聴いてます。。。
ということで、秋元康を軸にして好きが連鎖していった脱線話でした。
総括みたいになってしまうが、僕は「帰り道は遠回りしたくなる」が好きだ。もちろんMVも。「好きだったこの場所」ではじまり、「好きだったこの場所」で終わるこの曲を大切にしていきたい。
「君と離れるのは悲しいけど大事な別れだ」
ちなみにこの西野七瀬さんが着てる服のブランドも「ONE WAY」です。